”老老介護”の死角

6月28日(水・再放送)

老老介護…介護を要する老人を介護する人もまた老人であること。
全体の4割が老老介護世帯であるとされる。
→昨年名古屋で起きた事件から老老介護世帯の問題を探る。



◎67歳の夫と74歳の妻の夫婦。子供はいなかった。
・3年前から妻の行動に異変が見られ始める(同じ物をいくつも買う、無銭飲食をする)。
・妻の行動を不安に思うも夫は他者に相談はせず。
◎妻、脳梗塞で倒れ入院。
・体に後遺症は残らずも、精密検査の結果アルツハイマー型認知症の診断が。
・医師、介護保険を申請し介護サービスを受けることを提案。
・夫、妻の回復を信じ「他人の世話になる必要はない」。
・医師、家族からの希望が無かったため介護保険申請を強くは薦めず。
→この病院には「医療相談室」が設置されていた。
・退院時、他の医療施設や介護保険に関する情報を提供する。
・ケースワーカー常駐。
⇒夫、医療相談室を訪れず。
 ・ケースワーカーも患者本人や家族の希望、医師からの連絡なしには積極的に動けず。
 ・ケースワーカー「サービスの『押し売り』をするわけにもいかない」
◎妻退院、帰宅。夫がひとりで面倒を見る「老老介護」の生活始まる。
・妻の介護、家事の全てを夫がひとりで受け持つ。
・徘徊、行方不明など問題行動も。
→区役所福祉課に担当窓口ありも、夫ここも訪れず。
 ・福祉課長「もし窓口まで来てくれたら何がしか出来たことが…」
 ・妻が要介護認定を受ければ「デイサービス」「ショートステイ」
  「特別養護老人ホーム」など利用することができたが、夫はその選択をせず。
 ・夫(後の裁判にて)「施設を利用すれば高額な費用がかかると思っていた」
  ⇒要介護認定を受ければ利用者負担は1割にすぎないことを理解していなかった。
◎深刻な老老介護世帯に行政は何が出来たのか
 ・名古屋市の場合 民生委員・市の相談員による家庭訪問。
 ・安否の確認、悩みの相談、介護保険に関する情報提供など。
 ・こうした見回りは一人暮らし世帯が中心で夫婦世帯にはほとんど行われず。
 ・名古屋市の場合:一人暮らし高齢者世帯は5万6千、相談員は40人足らず。
 ・老老介護世帯の問題に対して把握しきれていないのが現状。
◎追い詰められていた夫婦と外の世界の接点…妻の通っていた病院
 ・名古屋市管理の公立病院
 ・病院が自治体の介護の部署へ情報提供し、医療と福祉の連携を図ることは出来ず。
 ・病院「そこまでは踏み込めず。個人情報の問題もある」
→・妻の病状は悪化の一途も夫はひとりでの介護を続ける。

◎介護保険制度開始以来今年で7年目
 ・高齢者の中に介護保険に対する正しい理解がなされなかったり、
  見ず知らずの他人に介護を委ねる抵抗感から制度の利用に消極的な場合多い。
 ・Tさん夫婦(夫妻とも87歳)の場合
  ・奥さんに7年前から認知症の症状。以来旦那さんが介護している。
  ・当初旦那さんは介護保険の利用考えず。
   実際に受けられるサービスがわからず、必要性を感じなかった。
   認知症の奥さんの病状や家庭の内情を他人に知られたくなかった。
  →旦那さん「家庭内のことを第三者にあからさまにするのは嫌だった」
 ・3年前旦那さん体調崩し1ヶ月の入院。
 →見兼ねた娘さんが介護保険申請を行う(夫婦とも要介護1の認定受ける)。
 ・以来介護サービスの利用を始めた。
 →奥さんは週4回デイサービスへ。旦那さんに自由時間が生まれた。
 →旦那さんは週1回訪問看護を受ける→悩みを相談する機会が出来た。

◎介護開始後1年8ヶ月、妻が転倒し脚を痛め寝たきりに。
 ・衰弱ひどく食事も摂れなくなる。
 ・夫も心臓に持病を抱え介護に限界を感じていた→心中を考えるように。
 ・「丈夫でもない自分が妻の介護を続けていけるだろうか」言い知れぬ不安に。
◎夫婦の住む団地内の住人たちは夫の献身的な姿を見ていた。
 ・しかし「夫がいかに追い詰められていたかはわからなかった」。
 ・「夫が一切言わず一人で抱え込んでいたためわからなかった」
 ・「もっと突っ込んでいけばよかったのかもしれないが」
 ・夫(弁護士に語る)「人間性が失われていく妻を他人に見せたくなかった」。
◎ある夜、夫は妻に食事を作る。
 ・妻の大好物のカレーライス。しかし妻はほとんど口をつけず。
 ・夫の「何とか元気になって欲しい」の希望は打ち砕かれる。
 ・その深夜、妻が苦しそうに寝返りを打つ姿を見ていたたまれなくなり妻の首を絞めた。
 ・夫も自殺を図ったが死にきれず自首した。
◎団地の住人は減刑の嘆願書を提出。
 ・「明日は我が身になるかもわからん」「もっと気に掛けてやればよかった」
◎今年1月、夫に判決。懲役3年、執行猶予5年。
 ・拘置所を出て4日後「ごめんなさい」の遺書を残し夫自殺。
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by urutimai1970 | 2006-06-28 17:10