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第8回 「歩けますか?」 区切り打ち愛媛路①

自分のための防備録として、
あるいは歩き遍路区切り打ちに行きたい人のために、
少し書いておこうかと。



今回の行程は以下の通り。

【9月8日/金】
ららん藤岡4:45→7:05羽田空港8:30→9:55松山空港
松山市駅12:00→13:05久万営業所
以降、行けるところまで行く。
[実際は・・・]
久万営業所まで予定通り。大宝寺。


【9月9日/土】
「愛媛vs草津」@愛媛陸キックオフ19時。
これに合わせて第四十七番八坂寺まで打つ。
以降自走組と合流。
[実際は・・・]
岩屋寺、浄瑠璃寺、八坂寺。八坂寺から徒歩30分で愛媛陸。
アウェイ入り口裏の東屋で惰眠貪る。疲れてたんで。


【9月10日/日】
行けるところまで行く。
[実際は・・・]
午前中雷雨につき自走組と名物物色の旅へ。正午からお遍路再開。
西林寺、浄土寺、繁多寺、石手寺、大山寺。円明寺まで行くも時間切れ。


【9月11日/月】
愛媛空港発18:00の羽田行きに乗る。
これに合わせて行けるところまで行く。
[実際は・・・]
円明寺へ戻って再開。延命寺まで34.4kmを急ぐも残り4kmで時間切れ。
JR予讃線大西駅13時05分発松山行きで帰宅の途につく。帰宅22時30分。

______________________________

10日の午前中を雷雨に妨げられてしまい実質2日半の区切り打ち。
始めに疲れが溜まってくるあたりで切り上げたため、今足の甲がかなり痛い。
ふくらはぎも尋常でなくパンパンに張っているが関節の痛みは全くない。
5年前の阿波路では膝を傷めたがサポーターが奏効。
足首も右が土曜の午前中に少し感覚がなくなりかけただけで大事に至らず。
で、「結構歩いたし」と改めて歩行距離を計算してみると意外や僅か90km少々。
意外と歩けていない。理由を考えるとこの区間、札所が意外と多いのだ。
この90kmで実に10寺。(第四十四番大宝寺から第五十三番円明寺まで)
お参りには1箇所30分ほどはかかってしまうのでこれだけで300分即ち5時間。
最終日も延命寺まで残り4kmで断念を強いられた。日曜日午前の雨が恨めしい。

今回の区切り打ち区間は総じて平坦で景色もよく、
鼻歌など歌ってしまうような明媚な場所ではあったのだが前半にやや問題があった。
金曜日から土曜日の午前中(浄瑠璃寺まで)は
四国カルストの端っこに隣接する山中であり、国道はいわゆる「ダンプ街道」、
歩くのはあまりにも危険なので山の中の旧遍路道を行ったのだが、
これが想像通りの、それはそれは険しい道だった(阿波路のときにも経験はある)。
国道をそれてガラ場道、始めこそ車の轍もあるがすぐに消え幅は狭まり獣道に。
季節は晩夏、草はまだまだ勢いよく生い茂って進むべき道を覆い隠す。
傍らの木の枝に吊るされた遍路道案内札がなかったら「草原」にしか見えない。
上り坂はきつく、坂というよりはソフトな崖のようで足も上がらなくなり、
かといって引き返すには進み過ぎたし、怪我を考えると下りは登りよりも危ない。
なんとなく前途も見えなくなって「歩くのここで辞めようかな」。
弱気の虫が鳴き出した。一瞬だけど本気で考えた。
でも携帯は圏外だから助けは呼べないし、
ここに定住するにしても仕事はないし(山の中だ)、
住まいも建てなきゃいけないし(繰り返すが山の中だ)、
なによりそんな弱い気持ちになってしまった自分に猛烈な嫌悪感を抱いた。
そうなるともうたまらなくなり「うるせいうるせいこんな坂!」とカラ元気を振り絞った。
顔を上げれば枝振りのいい木が見える。よし、あそこまで行ってみよう。
だんだん辛くなる。でも目の前に案内札が見える。そこまでは頑張ろう。
もう顔を上げるのもしんどくなってきた。でもあと一歩だけ足を出してみよう。
その一歩もきつくなってきた。じゃあ休もう、次の一歩を踏み出すために。
あとで地図で確かめればわずか4キロ強、苦しんだといっても実際1時間強。
数字上では大した難所とは思えないこの区間こそ、思い返せばいちばん印象深い。
【苦しくても、辛くなっても、気持ちさえ前向きになれたなら何とでもなるものだ。】
あの1時間強を経験できただけでも今回の区切り打ち、行った甲斐があったと思える。
前に進む苦しさというのは実は何にでもありえることで、
やっぱりラクなほうがいい、とついつい怠け心に負けがちな自分というのがいるのだが、
自分で行くと決めた道、考えを重ねた末に固く決意したことであるならば
超えられない苦しみというのは本来ないのではなかろうか。
苦しんでも、辛くても、すべてを投げ出したくなっても、
自分で決めた、決意した道でさえあれば、その苦しみは絶対に超えられる。
あの1時間の経験をいま思い返すと、そう思えてかなり心強いし、
あの1時間を経験したのだと考えると「ああ、言い訳はきかないんだなあ」と
違う意味で辛い気持ちにもならないではない(笑)。
でも、やっぱりいい経験ができたなと、これは間違いない。

【よく考えろ、決めたら恐れず進め、そこに超えられない壁はない。頑張れ。】

伊予路が教えてくれた。

by urutimai1970 | 2006-09-12 22:00 | Road to 愛媛陸