人気ブログランキング | 話題のタグを見る

結果的三日遍路 初日

結果的三日遍路 初日_b0014969_032451.jpg

(牟岐町・河内小学校そばの川にたたずむ鯉二匹。実はもっとたくさん泳いでた)

1月22日(月)
夜行バスは早朝のJR徳島駅前に滑り込んだ。
6時過ぎ、まだ明けやらぬ寒空の下、トランクに預けておいたリュックを受け取る。
背にした途端、重みでストラップが肩に食い込んでくる。
冬場の防寒具に加え「願い」を詰め込んだリュックである。重みの質が過去とは違う。
はっきりとプレッシャーを感じる。来てすぐ帰りたくなったのなんて初めてだ。
ま、それも一瞬のこと。気を引き締め直すには空腹を満たすのがいちばん。
駅前のコンビニでおにぎりとパンをお茶で流し込むと腹が据わってきた。

牟岐線で前回の中断地・日和佐へ向かう。
道中通学時間帯にぶつかったが僕の陣取ったボックス席には誰も近付いてこない。
狭い車内がぎゅうぎゅうになっても、僕は4人分のスペースを独占した形に。
「…おかしい」。
新野駅で高校生がどっと下車し、何の気なしに上を見て肝が冷えた。
ガラス窓に大きく張られた【優先席】の文字。
ごめんなさい、そそくさと席を移る。先が思いやられる。
しかし徳島の高校生の公衆道徳観念は実に立派なものだ。素晴らしい。

日和佐着。支度を整え8時50分より歩き始める。
1月末、どれだけ寒いのかと思ったら存外暖かい。
時が経つごとに日差しは強さを増すばかり、額に噴き出した汗が玉になって流れた。
群馬を出てきたときの厚手の上着をリュックに押し込みネルシャツに白衣で歩く。
それでも暑くて腕まくり。いつもこんなに暑いのか、それとも暖冬の影響か。
しかし足取りは快調。道は舗装してあるところなら何の問題もない。
目指すべき第二十四番・最御崎寺は75kmも先。歩いているだけだがやはり楽しい。
途中小松大師や鯖大師に立ち寄る。これがいい休息も兼ねる形になった。
空青く、冬の緑も目に沁みる。勢い自然と足は伸びる。

途上ふくながさんにお接待を受ける。
お水にお茶、飴をいただいた上にお杖にかぶせるニットカバーまで。
柔らかな笑顔はそれだけで心癒されたし、この先の道中の情報までいただいた。
申し訳ないほどのお接待、ありがたく頂戴した。本当にありがたい。
これまでも心が震えるような「お接待」をお遍路道中で何度も受けてきたが、
欲得ではない、損得でもない気持ちの純粋さが伝わってくるのだ。
一瞬でもたじろぐ僕は、ちょっと心に垢がたまっているのかもしれない。
今までもうまく自然に「お接待」を受けられたためしがないのだが、
「うまく」とか「上手に」とか、そんなことを考えるのはやめようと思った。
ただただ真摯に、正直に、ウソは無く。

道の駅宍喰温泉に投宿。飛び込みだったが部屋はあった。さすがオフシーズン。
風呂に入り、夕食をとり、寒中見舞いを仕上げて投函。
リュックと頭陀袋代わりのザスパエナメルバッグの中身を大きくいじる。
荷造りが下手でどうしようもないが、歩いてみないとわからないバランスもあるし。
プレッシャー、やっぱりあるなあ。

8時間半/34.0km

by urutimai1970 | 2007-01-30 00:05 | 歩けますか?